平成25年12月20日(金)14:30~17:00に千代田区一番町笹田ビル及び東京地学協会講堂で、笹田政克(NPO法人地中熱利用促進協会 理事長)による「地中熱利用ヒートポンプについて」の見学会と講演が行われた.主な内容は以下のとおりである。
見学会
東京地学協会にほど近い一番町笹田ビルの地中熱利用ヒートポンプシステム見学会が催された。案内及び講演をしていただいた笹田政克(ささだ まさかつ)氏(理学博士)は、東京教育大学大学院理学研究科を経て通商産業省地質調査所に入所し、主に地熱エネルギーの研究に従事された。2009年からNPO法人地中熱利用促進協会 理事長として地中熱利用の啓発活動に努め、本見学会を含め毎月見学会を開催し、これまでに1600名の方を見学者に案内した実績を持つ。当日は小雨模様の寒い中、傘もささず熱心に説明していただき、10名余りの参加者からも熱心な質問が相次ぎ、時間超過が心配されたほどで、このあとに続く講演会の会場(東京地学協会講堂)に徒歩で移動した。
第283回 講演会
笹田政克「都内での地中熱利用事例」
主な内容は、地中熱とは?・地中熱利用ヒートポンプの優れた点:省エネ性・環境性・都内での利用事例紹介:東京スカイツリー、KITTE、・・・普及の現状・地中熱利用コミュニティ・NPO法人地中熱利用促進協会の活動などであった。まず、地熱(地球内部に保有される熱の総称)と地中熱(浅い岩盤中に存在する低温の熱エネルギー)との違いなど、基本的な事項からわかりやすく説明された。とくに地中熱は、昼夜間又は季節間の温度変化の少ない地中の熱的特性を活用して利用される利点を強調された。すなわち地中熱は、太陽及び地球内部からの熱に由来する再生可能エネルギーであること、地下10~15mの深さになると、年間通して地温の変化が見られなくなり、その温度はその地域の平均気温とほぼ等しく安定した状況にある、さらに地中熱は、日本中どこでも利用でき、しかも天候等に左右されず安定的に利用できる等々である。地中熱利用の形態としてヒートポンプシステムが有効であること、その結果、省エネルギー・大きな節電効果・二酸化炭素排出量の削減やヒートアイランド現象の抑制にも資することなどを抱負は実例を挙げ説明された。また、都内での利用実態として東京スカイツリー・渋谷本町学園・前川製作所新本社ビルや既存ビルでの地中熱利用の実情などを紹介された。地中熱ヒートポンプの普及件数は、顕著な伸びを示しており、平成23年末までで累計990件(都内で87件)の設置件数となっており、地中熱利用の普及に向けて、経済産業省・環境省・国土交通省なども積極的な施策を実施しており、将来の展望が見込まれるなど参加者一同納得できる講演内容であった(文責:加藤)。
講演会の出席者数15名