日 時

平成28年9月9日(金) 15:00~

場 所

東京地学協会地学会館2階講堂(東京都千代田区二番町12-2)

交 通

東京メトロ麹町駅5出口を出て左へ徒歩1分
日本テレビ向い JR市ヶ谷駅から徒歩7分、四ッ谷駅から徒歩9分)

講 師

芝原暁彦 (産総研技術移転ベンチャー 地球科学可視化技術研究所㈱ 代表)

演 題

大型3D地形模型による情報分析手法

要 旨

 2010年代初頭より,3Dプリンタなど三次元造型技術に関する話題がメディアを賑わせている。またプロジェクションマッピングと呼ばれる,立体物を対象とした映像投影技術も注目されており,近年では室内の壁に複数の映像を立体投影することで仮想空間を演出するなど,エンターテイメント分野での研究開発が先行している。

芝原ほか(2013)は,これらの技術を地質情報の可視化および研究活動のアウトリーチに最適化するために,「プロジェクションマッピングに適した精密模型の造型手法および投影時の位置合わせ精度向上に関する技術(特開2014-032304)を開発した。また芝原ほか(2015)は,対象地域の地質学的特質に合わせた模型のカスタマイズ例について述べた。これに加えて近年では、複数の層を持つ積層型の立体造形物による地下構造の表現手法によるアウトリーチなども実施している。

今回の発表では上記技術の開発経緯に加え,応用例として可搬性の高い折りたたみ式の投影器具を用いたカンボジアでの地学教育支援活動について報告する。また考古学者との共同研究により、東京低地の地形模型上にプロジェクションマッピングで時代による海水面の変化(水域と陸域の変化)を映し出すことによって、東京低地における縄文時代~平安時代の環境変動と人間活動との関わりを立体的に可視化した例についても報告する。

本システムは現在,レーザースキャナやUAV(Unmanned Aerial Vehicle, 無人航空機)による写真計測などで取得された調査現場の3D地形データおよび露頭のカラーマップなどをリアルタイムで立体化することが可能となっている。こうした技術開発の進捗状況と,将来的な応用計画についても紹介する。

文 献

 芝原暁彦・加藤碩一・伊藤順一(2013):三次元造型による精密立体地質模型(映像投影型)を使った地質情報の発信および地学教育への応用(雲仙普賢岳と阪神・淡路地域を例として).地質学雑誌,119, 口絵XV-XVI.

芝原暁彦・木村克己・西山昭一(2015):積層型精密立体地質模型:3D造型とプロジェクションマッピングを用いた地下構造の新規可視化法とその応用.地図,53(1), 36-46.