地学クラブ第292回講演会(10月)の予定が決まりましたのでお知らせします。講演終了後講師を囲んでの懇談会も懇談の場も用意しています。一般(非会員)の方々も気軽にご参加下さい。多数の方々のご来場をお待ちしています。

日 時

平成27年10月23日(金)16:00~17:00

場 所

東京地学協会 地学会館二階 講堂(東京都千代田区二番町 12-2)

交 通

東京メトロ麹町駅5出口を出て左へ徒歩1分
日本テレビ向い JR市ヶ谷駅から徒歩7分、四ッ谷駅から徒歩9分)

日本の人造宝石技術、その一断面-青年宮沢賢治から青色LED用サファイアまで-

講演者

白木健一(並木精密宝石研究所)

要 旨

 詩人で童話作家の宮沢賢治は幼少の頃、近くを流れる北上川の岸で美しい石を拾い集めるのが好きで、石っこケンさんと呼ばれていたそうです。長じて生みだされた詩や童話には、沢山の鉱物や宝石がふさわしい文章表現として散りばめられ色や光を放ち、それを調べたものは鉱物専門家の著書にさえなっています。

 彼は若き日、天然の鉱物のみでなくその合成にも興味を伸ばし、父宛の手紙に自分の望む宝石や鉱物の合成は実用的にも意義の大きいことを訴えています。

 後の詩に宝石の合成が登場します、昭和初年頃、開通した東京の高架鉄道を詠んだ詩「高架線」の一節に

   酸化礬土と酸水素焔にてつくりたる

   紅きルビーのひとかけをごくたいせつに

   手にはめてタキスの空のそのしたを・・・

とあり、実は若き日に酸水素焔による宝石の人造事業を夢見ていたのです。

 講演者は社会人となった1959年、電子機器メーカにてルビー人造に着手し、以来半世紀余にわたり各種ガーネット、サファイア等の応用に係わりました。

 これらダイアモンド以外の宝石結晶育成の体験について述べようと思います。