地学クラブ第286回講演会(7月)の予定が決まりましたのでお知らせします。講演終了後に講師を囲んで懇談の場も用意しています。一般(非会員)の方々も気軽にご参加ください。多数の方々のご来場をお待ちしています。

ASEAN鉱物資源データベース-アジアの資源地質情報の整備事例

日 時

平成26年7月25日(金)16:00~17:30

場 所

地学会館講堂
〒102-0084 東京都千代田区二番町12-2 地学会館
(地下鉄有楽町線「麹町」駅A5出口下車。左に徒歩2分)

講演者

大久保泰邦(産業技術総合研究所地質分野研究企画室)

要 旨

 ASEANは金属・非金属鉱物資源に恵まれており、鉱物資源開発は経済発展の鍵となっている。しかし、未だ探査、開発が不十分な状況で、資源開発に係る紛争などのさまざまなリスクや、法制度や社会体制に不確実性があるなどの理由で、外国資本も参入しにくい。

 そこでこの課題に対処するためにASEANは以下のアクションプランを立て鉱物資源開発を促進している。

●鉱物資源の貿易・投資の円滑化と促進
●鉱物資源の環境的、社会的持続性の促進
●ASEAN地域の組織能力と人材能力の向上

 ASEAN鉱物資源情報システムのプロジェクトは、このアクションプランの一環として開始された。ASEANが一致団結して鉱物資源情報の透明性を高め、海外からの資金誘致を行うことを第一目的としている。データはASEAN各国によって2007年から整備・公開された。
 しかしGISの開発には多額の経費がかかるため、購入、維持が高額になる。ASEAN+3の鉱物資源関係の会合であるASEAN鉱物高級事務レベル会合+3で、ASEAN各国から日本へオープンソースを使ったシステムの構築のための技術支援の依頼があった。これを日本政府(代表は経済産業省)が合意し、支援するに至った。
 産総研は、この支援のためOGCが提供するオープンソースを使って、経費の掛からないシステムを構築した。このことによって、ユーザが無料でシステムを使えるだけでなく、システム提供者側も無料でシステムの構築や更新が可能となり、最新のバージョン、機能を無料で使える環境ができあがった。これによって、富める国でも貧しい国でもどこからでも、インターネットが通じていれば、以前は高価であったGISをアクセスすることができることとなった。
 この新しいWeb GISに関する研修を、2011年から2012年にかけて、3回、日本が主催して開催した。シンガポールを除くASEAN9か国から延べ約100名のGISの専門家が参加した。
 その結果、各国におけるデータベースの構築とWeb GISが完成し、2013年11月に正式に鉱物資源データベースとして公開されることとなった。現在、以下のサイトからアクセスすることができる。

http://asomm.psdg.bgl.esdm.go.id/asomm/index.php(リンク無効)

また現在JICA予算によるWeb GISの現地研修を行っている。そこでの様子も報告する。

予 約

不要