地学クラブ第284回講演会(3月)の予定が決まりましたのでお知らせします。講演終了後に講師を囲んで懇談の場も用意しています。一般(非会員)の方々も気軽にご参加ください。多数の方々のご来場をお待ちしています。

微生物がつくり、人が護る:「天然記念物“オンネトー湯の滝マンガン酸化物生成地”」と「錦沼」講演会

日 時

平成26年3月15日(土)14:00~15:30

場 所

地学会館講堂
〒102-0084 東京都千代田区二番町12-2 地学会館
(地下鉄有楽町線「麹町」駅A5出口下車。左に徒歩2分)

講演者

三田 直樹(産業技術総合研究所)

要 旨

 2000年9月6日に国の天然記念物に指定された当地(阿寒国立公園/足寄町)は、黒い二酸化マンガンMnO2の鉱物(轟石など)が微生物作用で生成中の「世界でも稀な場所」で、1950年代に約3,500トンのMnO2が採掘されました。マンガンMnは、乾電池や鉄鋼などの重要資源であるレアメタルです。
 30数億年前のプレカンブリアン時代に誕生した光合成微生物(藍藻など)は、酸素ガスO2を生み出しました。O2は水に溶存する鉄イオンFe2+やマンガンイオンMn2+と結合し、赤い酸化鉄Fe2O3や黒いMnO2の鉱物が沈積しました。世界中に存在する『巨大鉱床』は海底の温泉で誕生したとみられていますが、成因は謎でした。
 1970年代に深海の火山で発見された熱水鉱床は、“硫化物や酸化物などの鉱物”が生成中の『生きた鉱床』として脚光を浴びました。私は1987年から地質調査船「白嶺丸」で活動域を探索し、MnO2を造る「Mn酸化細菌」を培養・分離しました。
 私は、北海道大学の針谷宥教授から「北海道にMnO2が沈澱中の世界で稀な場所があり、成因は未解明」と聞き、1989年に「Mn酸化細菌の作用では?」と仮説をたて、湯の滝や付近の錦沼(Fe2O3生成)の現象解明を試み、共同研究を続けてきました。環境省や地元自治体などの諸機関と恊働し、現象の保護や生涯教育にも取り組んでいます。  以上について、紹介します。

予 約

不要