日 時

H27.2.6(金) 16:00~17:30

場 所

東京地学協会地学会館講堂(東京メトロ麹町駅5出口を出て左へ徒歩1分)

講演内容

『筑波山地域の日本ジオパーク認定に向けた取組』
霜越彩美(つくば市役所ジオパーク推進室)

 筑波山地域ジオパーク構想のエリアは、茨城県中南部に位置し、筑波山を中心とした山間地と周辺の関東平野に属する台地・低地等からなり、南東部に湖面積が日本第2位の霞ケ浦が含まれます。行政区域では、北から笠間市、桜川市、石岡市、つくば市、かすみがうら市及び土浦市の6市域からなります。 東京都心からは北東に45km~100km圏内に位置する。例えば霞ケ浦が約60km、筑波山が約70kmと、秩父ジオパークと並んで首都圏から最も近く、電車、高速道路、空港の活用など交通利便性も高いエリアです。筑波山塊の主峰・筑波山は、山頂部は斑れい岩からなる急峻な双峰で、山腹から山麓には花崗岩が分布しています。山裾には第四紀の海水準変動が広い台地や低地を造り出し、生態系を変化させ、霞ケ浦周辺の風光明媚な風土をもたらしています。そして、それらの地質学的な現象が今もなお様々な痕跡・史跡として存在しており、当時の姿を想像することができます。 一方、筑波山は、「西の富士、東の筑波」といった言葉にも象徴されるように、古代から関東のランドマークとして、人々の山岳信仰や文化発祥の舞台となってきました。加えて、山裾の地域は我が国有数の石材業や陶芸、霞ケ浦の水運などが隆盛し、江戸(東京)と近接して、独自の産業的・文化的発展を遂げてきました。これらのことを背景にして、筑波山地域は現在、日本ジオパークの認定に向けて活動を進めているところです。こうした取組について、このエリアの特徴や、長所、短所、そして課題などをまじえながら話をさせていただきたいと考えております。

「ジオの魅力を体感する山懐の魅力」
野末たく二(結エディット)

 筑波山の魅力とは何でしょう?30年以上も前のある日、山裾から筑波山に登りました。当時の筑波研究学園都市は、風が吹けば砂埃が舞い上がる未開地。夕方、山を下る時に古道沿いに家々がある、そこに暮らしがあるということにほっとし、筑波山をはじめて身近な山と意識しました。それから、自分の父母よりも年上の俳句の友が山麓にでき、庭に蛍が出るからと誘われたり、筑波山の本を編集・出版してと、つかず離れず筑波山と関わり続けてきました。数年前、筑波山神社の初詣で山麓に車を止め、歩き始めたところ、学園都市はすごい風だったのに、山に入ると風が止んだのです。子どもが母親の着物の裾に隠れて風を除けるように。その時、「山懐」ということばが浮かび、ここで暮らし続けてきた理由が分かった気がしました。噴火もなければ、断崖絶壁もない筑波山は、なんということのないお山ですが、日本人なら誰でも抱いていた郷愁があり、それは山懐に入り、じわじわと知る、かそけき魅力といえます。

その他

予約不要。無料。終了後、別室で簡単な懇親会(参加自由、飲み物のみ実費)