開催趣旨:「より安心安全な地的環境を目指して」として防災関係者に関心が深い地震による地盤の液状化現象について、その分野の権威に最新の情報をわかりやすく解説してもらう。
日時:平成27年6月13日(土)15:00~17:00
場所:東京地学協会地学会館講堂
参加者数:26名
内容:

寒川 旭(産業技術総合研究所客員研究員)

「地震考古学から見た遺跡の液状化跡」
 考古学の遺跡発掘調査で液状化現象の痕跡が見つかっている。住居跡などの遺構や土器などの遺物と痕跡との前後関係から、原因となった地震の年代を絞り込み、さらに、液状化現象にともなう地層や遺構の変形、砂・礫などの粒子の動きなどを観察することができるようになった。

 これを活かした研究として、文献史料と液状化跡から解明した南海トラフ巨大地震の過去2000年間の歴史が紹介され、さらに、1596年に京阪神・淡路地域を襲った伏見地震を中心に、地震を引き起こした活断層と、その地震で生じた液状化跡が解説された。また、礫を多く含む地層が液状化した例、液状化現象にともなって砂や礫が流動する様子、側方流動による遺構の変形など液状化現象にともなう興味深い観察結果が紹介された。




若松加寿江(関東学院大学理工学部教授)

「東日本大震災、日本列島650kmにわたる液状化被害の実態と課題」

 東日本大震災における液状化被害の実態が紹介され、液状化被害地域と土地条件・地盤条件や地震動強さとの関係が解説された。さらに、震災後から4年の間に新設された住宅など小規模建築物の液状化対策に係わる公的な取り組みや法改正などについて紹介され、今後の課題についても話題提供された。