Home ニュース その他のニュース 東京地学協会春季公開特別講演会「超巨大地震の真相に迫る」開催のお知らせ

「超巨大地震の真相に迫る」

2012年6月9日(土)午後1時30分〜5時
会場:弘済会館
参加費:無料(申し込み不要)

プログラム

開会の辞

松田時彦会長

講演1

池田安隆 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学准教授

演題:「超巨大地震の地学」

講演2

平川一臣 北海道大学名誉教授

演題:「津波堆積物から超巨大地震に迫る」

 

会場:弘済会館 千代田区麹町5−1 電話:03-5276-0333

新宿通り沿い(JR四谷駅と地下鉄有楽町線麹町駅の中間よりやや麹町駅より.両駅から徒歩5〜6分)

 

問い合わせ先 東京地学協会 電話:03−3261−0809

 

講演内容の詳細

講演1

池田安隆 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学准教授

演題:「超巨大地震の地学」

講演要旨

東北日本弧では,測地学的観測で検出された水平短縮歪み速度が地質学的に観測される歪み速度よりおよそ一桁大きい.同様の不一致は垂直変動速度に関しても存在する;太平洋岸で急速な沈降が観測される一方で,第四紀後期の旧汀線高度は緩慢な隆起を示す.これは現在急速に蓄積している地殻歪みの大部分が弾性歪みであり,プレート境界の固着部分がすべることで解消されるということを意味している.しかし,過去100 年間に起こったMw 7~8 級の海溝型地震は,歪み解放に寄与していない.したがって,プレート境界の固着面全体がすべる巨大歪み解放イベントが存在するはずであり,2011 年東北地方太平洋沖地震はこのような固着解放イベントであると考えられる.東北日本 では幅広く深い固着領域(深さ約100 kmまで及ぶ)が存在し,その浅部のみ(深さ約50 kmまで)が地震時にすべり,割れ残った深部固着域で余効すべりがおこるらしい.このような深部固着は,世界の他の超巨大地震発生帯には存在しない可能性が高い.日本海溝に沈み込んでいるプレートの年齢は極めて古く従って低温であり,このように深い固着域が存在するのは熱的な原因によると考えられる.

 

講演2

平川一臣 北海道大学名誉教授

演題:「津波堆積物から超巨大地震に迫る」

講演要旨

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は超巨大津波を引き起した.津波の浸水,遡上は房総半島や北海道太平洋沿岸にいたる広範囲に及んだ.このような超巨大地震とそれに伴う超巨大津波は,過去数千年の履歴の中でどのように理解されるだろうか.1611年慶長三陸津波,869年貞観津波,さらには千島海溝で発生した17C.初頭の500年間隔地震津波などはどのように評価すべきだろうか.これらを初めとして,東北地方〜北海道太平洋沖の日本海溝,千島海溝沿いで発生してきたに違いない超巨大津波の識別とそれらの波源域、履歴およびそれらの意味することなどについて,古津波堆積物の調査方法の工夫を織り交ぜながら検討する。超巨大津波を識別・選別し,特定するためには,段丘や斜面の地形と地形発達を利用しつつ適切な調査地点を探り当て,古津波堆積物を認識・記載することが重要である.1000年に一度のような超巨大津波は低平地だけでなく異常な高所や地形にさえイベント堆積物として記録を残しているにちがいない.このようにして得られた津波堆積物に基づけば,東北地方〜北海道沖の日本海溝,千島海溝には少なくとも三つの異なる超巨大津波の波源域があり,それぞれの領域におよそ1000年程度の超巨大地震のスーパーサイクルがあることを示唆する.加えて,1993年北海道南西沖地震による津波災害を被った奥尻島で得られた日本海側の巨大津波履歴について最新のデータを示す.