地学クラブ講演会「日本における地層処分」

講師:武田精悦氏(原子力発電環境整備機構(NUMO))

日時:平成24年2月20日(月)14:00~
場所:東京地学協会講堂

要旨
原子力発電から発生する高レベル放射性廃棄物は放射能レベルが高く、超長期間にわたり人間の生活環境から安全に隔離する必要がある。地層処分はそのような廃棄物を、人工的な障壁で防護しつつ深い地下(深地層)に隔離することにより、超長期にわたり安全を確保しようとするものである。そのための基本的な考えは、地下における資源の存在に示されるように、深地層には超長期にわたりものを隔離することが期待できることに基づく。
日本においては1976年に地層処分の研究開発が開始された。1999年にそれまでの成果を集大成した報告書が公表され、その中で日本においても地層処分を実現することが可能であることが示された。それを受け、2000年に法律(「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」)が制定され、基本方針・実施計画、処分地選定プロセスなど地層処分実施に関わる必要な事項が整備された。同年、その実施主体として原子力発電環境整備機構(NUMO)が設立された。この地層処分は、処分施設のサイト選定段階から建設・操業・閉鎖までの各段階からなる約100年に及ぶ事業であり、現在は平成40年代後半を目途に操業開始を目指している。2002年にサイト選定のための公募を開始したが、現在最初の段階である文献調査に着手するに至っていない。その一方で、NUMOや関係研究機関は円滑な地層処分の実現に向け、地層処分技術のさらなる信頼性の向上のために、事業の各段階に必要な技術に関する技術開発を進めてきている。  本講演では、日本における地層処分の現況・展望および問題点などについて紹介する。