日 時:平成31年(2019年)6月15日(土)15:00~17:45
場 所:弘済会館(東京都千代田区麹町5-1)
交 通:JR 総武線・中央線「四谷駅」下車 麹町口より徒歩5分
地下鉄丸の内線・南北線「四谷駅」下車 1番出口より徒歩5分
地下鉄有楽町線「麹町駅」下車 1番出口より徒歩5分
プログラム:
15:00~15:05 開会挨拶
15:05~15:10 趣旨説明 目代邦康
15:10~16:40 講演 土屋 健(オフィス ジオパレント)
「一般向けのサイエンスライティングとは何か―ライン際を攻める世界。科学雑誌と古生物本を例に」
16:40~16:50 休憩
16:50~17:40 パネルディスカッション
[土屋 健,芝原暁彦,長谷川直子,目代邦康(司会)]
17:40~17:45 閉会挨拶
土屋氏講演要旨:

 世に言う「サイエンスライター」には、大きく分けて二つのタイプがある。一つは、専門家顔負けの知識と人脈、分析能力をもち、科学を外部から検証をしていくタイプ。もう一つは、科学のもつ意義や楽しさをわかりやすく人々に伝えていくタイプ。両タイプを兼ねる人もいれば、専らどちらかだけという人もいる。いわゆる「一般向けの書籍」に携わることが多いのは、後者だ。

 後者のサイエンスライターにもさまざまなタイプが存在し、科学分野全般を広くあつかう人(例えば、新聞の科学部や科学雑誌の記者)や、特定の分野に特化した人(現在の筆者はこのタイプ)、必要に応じてサイエンスライターと名乗る人(日本では、このタイプが多い)などに分けられる。科学分野全般型と特定分野型は、「“専門家が大切あるいは面白いと思うこと”を、“大切あるいは面白いと思うことができる知識”」と「その大切な情報や面白さを“一般層に届けるための技術”」を必要とする。

 筆者は大学と大学院時代に地質学と古生物学を学び、その面白さを専門家だけで味わっている状況はもったいないと考え、出版というメディアを進路に選び、縁あって科学雑誌『Newton』の編集記者として約9年、部長代理として1年半活動した。独立後はこの経験を生かし、多くの出版社の編集者と企画段階から調整を重ね、主に地学関係(とくに古生物学関係)の書籍執筆を行なっている。

 一般層をターゲットとした記事や書籍には、いくつもの大切な点がある。とくに「専門家との連携のもとに、どれだけ“ライン際のわかりやすさ”を攻めることができるか」ということ、「読んでもらう相手を想定すること」は重要である。「わかりやすさ」と「科学的正確性」の両立も、もちろん意識なければならない。その上で、一般流通に乗せる以上は「売れること」も大切だ。

 今回の講演では、「一般向け」の「一般」を意識するとはどういうことなのか。わかりやすくて楽しくて、読者の知的好奇心や知的探究心に訴えかける原稿とはどのようなものなのかに迫る。

 究極のキーワードは「ラヴレター」なのです。