地学クラブ講演会(9月)について

「震源断層のマッピングに向けて:最近の地震被害から」
佐藤比呂志(東京大学地震研究所地震予知研究推進センター)

9月の講演会は9月20日(木)、14時から、以下の内容で行います。 多数のお出でをお待ちしています。

(要旨)
今年に入ってすでに二つの内陸被害地震が発生しています。マグニチュード6後半の地震は、地表に地震断層が現れないことも多く、事前に評価することが難しい地震です。こうした規模の地震は、発生後での調査では、地質構造の上から既存の断層で起きていたことが理解されますが、事前に活断層として指摘できていたものばかりではありません。どうすれば、地震発生前に震源断層の位置や形状を推定できるのでしょうか。一つの重要な鍵は、地表の活構造を地質構造の枠組みの中で捉え、地質構造形成過程のモデルの中で、震源断層を推定していくことだと思います。どこでも震度6強の揺れに襲われることを覚悟しなければならないとすれば、活断層調査も精緻な強震動予測も無用のものになります。震源断層のマッピングは、地球科学の総力を挙げて取り組むべき、現実的な課題の一つだと思っています。
後援では、最近発生した内陸被害地震とその地質学的な特徴についてとりあげ、地殻構造のイメージング技術の進展と地質構造形成のモデル化についてお話します。