地学クラブ講演会のお知らせ(平成20年2月)

2月の地学クラブ講演会を下記により開催します。 多数のご来場をお待ちしています。

日時:平成20年2月20日(水)14:00-15:30
場所:東京地学協会講堂
演題及び演者は下記のとおりです。

「時間を武器に地球を探る:年代測定の現状と、同位体比による地球深部の化学的環境の解明」
兼岡一郎(海洋研究開発機構高知コア研究所アドバイザー)

概要:
岩石や鉱物中には放射性壊変によってウランー238やカリウムー40、そのほかの核種から生じる放射性起源同位体が存在する。それらと、同じ元素の安定同位体との比は時間によって規則的に変化するので、その比は地球を探る有力な手段となる。それらの比などを利用して鉱物等の生成年代値を求めるのが年代測定であるが、測定値が地学的に意味をもつにはいくつかの要件を満たす必要がある。前半では、年代測定の現状と課題についてふれる。 また放射性起源同位体を含んだ同位体比は、時間がその変動の原因であることを利用することにより、ほかの手段では判別が困難なことを明らかにすることができる。ダイアモンドの母岩として著名なキンバーライトは、その同位体比からは海洋島玄武岩と同様にマントル深部(おそらく下部マントル)にマグマ源が存在することが予想される。また海洋島玄武岩よりも浅部における二次的な化学的影響を受けていないので、マントル深部の化学的環境をより直接的に反映している可能性がある。後半では。演者自身がここ数年来こだわりをもって仲間と研究を続けているキンバーライトの地球科学的な意義について紹介する。