第249回地学クラブ講演会「動き出した日本のジオパーク」

平成21年4月20日(月)14時~ 
東京地学協会講堂
演題:動き出した日本のジオパーク

講師:渡辺真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

要旨:
ジオパークは,ユネスコが支援する世界ジオパークネットワーク(GGN,2004年設立)が推進する活動である。現在18ヶ国57地域がGGNに加盟する,“世界ジオパーク”である。GGNが推進するジオパークは,地学系の自然遺産である大地の遺産を保全し,研究・教育・普及に生かし,エコツーリズムの地学版とでもいうべきジオツーリズムに活用することで地域の持続的発展を目指す。ジオパークが各地に設立されると,大地の遺産の保全,市民の地学リテラシーの向上とそれを通じた防災意識の向上や地球規模の問題への正しい理解,地域の持続的発展,さらには地学を学んだ学生の就職先の拡大につながる。2008年5月に設立された日本ジオパーク委員会(JGC)は,2008年10月に3地域のGGN申請候補を決定し,同12月にGGN申請候補を含む7地域の日本ジオパークの認定を行った。3地域はJGCの推薦を受けて2008年12月にGGNに加盟申請を日本で初めて行い,現在書類審査が進行中である。日本ジオパークに認定された地域では,地域の地形・地質のガイドの養成や,ガイドブック・マップの整備が進んでいる。地学の普及と社会でのより広汎な活用に対して,ジオパークは大きく貢献すると期待される。