英国人旅行家イザベラ・バードを科学する  
―旅、旅行記、写真、ツイン・タイム・トラベル―

平成21年度通常総会,第2回理事会,第2回評議員会に引き続き,下記のように春季講演会を開催いたします。

平成21年5月30日(土)午後3時~
東京地学協会講堂において
演題:英国人旅行家イザベラ・バードを科学する  
―旅、旅行記、写真、ツイン・タイム・トラベル―
演者:金坂清則氏(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)

要旨:
1831年に生まれ1904年に亡くなった英国女性イザベラ・バードは、史上屈指の女性旅行家である。南米と南極を除く五大陸をカバーする旅の世界の広がり、22~70歳まで半世紀近くにわたる旅の時間幅、作品の膨大さと多様さ、どれをとっても別格である。150㎝に満たない病持ちの女性がなぜ男性冒険家顔負けの旅を行い得たのか? しかも50歳で結婚し5年で未亡人となった後、なぜ、いよいよすさまじい旅を続けたのか? 謎は多く、それを解く楽しみは尽きない。ここに彼女の旅と旅行記に代表されるその事績を科学する意義がある。  本講演では、彼女の旅とその事績を概観した後、彼女が3年以上にわたって激動の極東を旅し続けた第五期の旅(1894~97)にあって、旅の成果の表現媒体として重視した写真を軸とする謎解きの一端を話す。そして最後に、そのような営みの意義を示すと共に、twin time travelという、演者の造語を基本コンセプトとして英国で開催してきている写真展について触れ、写真展が地理学者としての活動の一つになることを証明したい。