東京地学協会では、会員の有志がそれぞれの分野の中で、一般の方が興味を抱きそうな話題について講演をする「出前講座」を行なっております。下記の表でそれぞれのタイトル、簡単な内容説明、対象者などをご覧頂いた上でお申し込み下さい。お申し込みに当たっては、講師の旅費と謝金をご負担して頂くことになります。

タイトル簡単な内容説明対象者
1
  1. 四国の地質と中央構造線
  2. 南海トラフ地震への備え
  3. 四国の土砂災害について
  1. 四国の地質を概観し、中央構造線の形成、発達史を考えてゆく。すなわち、三波川変成岩、領家変成岩、和泉層群、久万層群。石鎚層群等の堆積から続成、変成を踏まえ、中央構造線について四国における断層露頭からその意義を考える。中央構造線付近に発達する活断層についても調査結果から地震と関連させながらみてゆく。
  2. 文献からみた南海トラフ地震をベースに再来周期や被害状況を整理し、来る南海トラフ巨大地震への対応を考えてゆく。プレートテクトニクスを説明し、プレート境界地震や津波に言及した地震防災の話でもある。
  3. これまでの土砂災害の素因と誘因を検討するとともに四国の地質を概観し、気象学的、地震学的に土砂災害を考えてゆく。
①、②、③とも小学生、中学生、高校生、大学生、社会人等どういった年齢層でも受講対象者に合わせた講座にします。
2
  1. 1)恐竜の話
  2. 2)ミジンコの化石
  1. 1)首長竜は恐竜ではない。イグアノドンの復元は最初とても変だった。恐竜の名前でラテン語を勉強しよう。日本には恐竜はいないと思われていた。など
  2. 2)ミジンコの化石がいる。ウミホタルもミジンコのなかま。ミジンコと恐竜とどちらがおもしろい。ミジンコの化石を調べると石油がわかる。など
小学生、中学生、高校生、大学生、社会人等全部できます。特に小学生もやれます。
3日本列島における火山と噴火災害日本列島に存在する火山の概要を紹介するとともに、それにより引き起こされる火山災害の特徴をいくつかの事例を交え解説する。小学生、中学生、高校生、大学生、社会人等
4火山を恐れる・火山を楽しむどうして火山は噴火するのかなど,火山のしくみについて説明し、火山を正しく理解するお手伝いをします。また、火山と共生するために知っておきたいさまざまな知識、例えば火山観測情報や噴火警報の読み解き方、火山ツーリズムの楽しみ方などについてお話しします。高校生~社会人
5
  1. 1)歴史に学ぶ防災の知恵
  2. 2)歴史地震研究の楽しみ
  1. 1)歴史上の災害を例として、知っておくべき防災の知恵や、先人の暮らし方や教訓に込められた日本列島の自然との付き合い方についてお話します。
  2. 2)歴史地震の研究は、思わぬ面白い発見があり、また、科学的観測だけからは知りえない地震の実態に関する貴重な情報を得ることができます。歴史地震研究の現状と、その楽しみを皆さんにお伝えできれば幸いです。
高校生以上を対象
6
  1. 1)メタンハイドレート:地球と人類への関わり
  2. 2)日本海のメタンハイドレート
  1. 1)メタンハイドレートはメタンガスと水からできている氷のような物質です。メタンハイドレートは世界の海洋の海底下数10~数100メートルに広く分布していて、その量は膨大で、気候変動、エネルギー資源、地滑り災害など様々な形で人類社会と地球の進化に関わります。本講義では地球史的な視点からメタンハイドレートに就て考えます。
  2. 2)日本海の海底には白い塊状のメタンハイドレートが露出している場所が沢山あります。これまでのメタンハイドレート研究からは”異常な”ものです。日本海にユニークに分布する表層型メタンハイドレートに焦点を当てて、資源ポテンシャルと氷期ー間氷期変動との関わりに就て解説します。
  1. 1)小学校高学年~シニア
  2. 2)高校生~シニア
7海図とは―航海の安全と国家主権を支える海の地図ー海図と言う用語は、新聞紙上等に”海図なき○○の行くへ”などの比喩表現でしばしば登場します。しかし、一般にはなじみが薄く一度も見たことがないと言う人が多いと思われます。海図は航海に不可欠な海の地図であると同時に、領海や排他的経済水域(EEZ)などの国の領域を決める国の礎となる地図でもあります。日本は海洋国家であり、多くの人々が海図を知り、海の理解を深めて頂ければと思い ます。海の深さの測り方、海の地図の歴史、海図の特徴などを平易に解説します。中学生、高校生、大学生、社会人等
8南極:探検から観測への歴史とそのグローバルな意義 南極大陸は1820年に発見され、以後探検が重ねられてきた。1895年、ロンドンでの第6回国際地理学会議で、「南極の科学的探検が、科学のすべての分野に効果をもたらすので、今世紀中にそれに着手するように」との決議が採択され、20世紀初頭の探検の「英雄時代」が到来した。1957年/58年、国際地球観測年での観測が計画され、その柱として12か国による国際協同南極観測が行われた。我が国は12か国中唯一の敗戦国、アジアの国であった。観測の成果をもとに南極条約が締結され、国際協同科学観測の継続と「極地」の国際統治という重要な実験が、なにをもたらすかを考えてみたい。大学生/社会人 向け
9
  1. 1)地球温暖化の歴史と未来
  2. 2)世界各地の気温が年々高くなっているって本当?
  1. 1)温暖化の歴史的背景・観測される現象・大気二酸化炭素濃度の変化・過去の気候変化の復元・温暖化の将来予測。
  2. 2)昔の人が発見したこと、百年前から気温が高くなって来た証拠、空気の中の炭酸ガスが増えている、人は自然の変化よりも百倍以上の速さで炭酸ガスを出して地球を暖かくしている。
  1. 1)高校生以上の市民
  2. 2)小・中学生向け
10
  1. 1)地球儀とは-地球儀の分類、西欧・本邦における製作(略)史
  2. 2)幕末に製作された本邦製地球儀の最高峰といえる角田桜岳の地球儀について
  3. 3)本邦及び西欧製の携帯地球儀のうち傘技術を用いた地球儀について
  4. 4)画像や彫像の中の地球儀-情報伝達と寓意の表示としての地球儀
  1. 1)
    1. 地球儀、天球儀、渾天儀などを示した後に地球儀の形やその構成、各部について述べる。
    2. 西欧北米の地球儀製作史とその製作社/者を概説する。ホンデウス、メルカトル、ブラウ、コロネリ、ポコックなどの地球儀製作者について紹介する。
    3. 日本の地球儀製作史を概説する。
      ただし、要望に応じて、①,②,③の内でいずれか1件。
  2. 2)幕末に製作された本邦製地球儀の最高峰ともみなせる角田家旧蔵の地球儀について述べる。地球儀の椅子型架台に納まる、角田桜岳とその仲間、特に新発田収蔵、浮世絵師や錺職、指物師ら職人による地球儀は、西欧製地球儀の欠陥を補う改良が見られる。なお、実質的な製作者は新発田収蔵である。
  3. 3)沼尻墨僊の大輿地球儀及びBETTS社の新型携帯地球儀、とその類似品、BETTS社の旧型携帯地球儀を含め話題を提供する。ここでは、海外を含めるが、特に本邦における通説の錯誤も指摘する。
  4. 4)
    1. 情報伝達と寓意の表示としての地球儀。単なる絵画でも、特に地球儀に関してはその宗教的、政治的意図が潜むこと、所謂、美術評論家の解釈とおりではないことを述べる。
    2. Hitlerの地球儀。Columbus社の大地球儀及び「Hitlerの地球儀」と呼ばれる地球儀とそれにまつわる話題について述べる。
      ただし、要望に応じて①,②の内でいずれか1件。
大学生・社会人◎、中学生・高校生○
11Geography (地理学)とは?GEOGRAPHYは古来万学の祖、といわれているのは、ギリシャ語のGAEA,GAiAはもともとearth であり、母なる大地・地球の学から諸学が派生してきたからである。しかも、ヨーロッパ諸国では、コロンブス時代前後からの世界的視圏の拡大化、植民地経営、国際貿易の発展にとっても不可欠な地理学は重視されて、王立ないしそれに準じる地理学協会が相次いで創設された。それに倣ってやや遅まきながら我が国でも明治維新早々の1879年には、北白川の宮様を社長に擁する東京地学協会、TOKYO GEOGRAPHICAL SOSIETY (地学協会)が創設され、そうした総合的な地球学の導入が遅れた極東の島国日本では、地理学といえば、地質学・岩石学・地球物理学などと共に近代専門科学の一つとして、地球表面の研究を分担する狭義の学となり、欧米に比べて地理学の古典的尊厳性は希薄である。
12
  1. 1)熱帯の夜は熱帯夜かー常識と思い込んでいることを見直すー
  2. 2)ハザードマップを使いこなす
  3. 3)造成宅地の地盤と災害
  4. 4)山くずれや地すべりとのつきあい方
  5. 5)「さとやま」を地形からみる
  6. 6)途上国の環境保全・利用
  1. 1)日本など浸潤温帯で生まれ育った多くの人にとって必ずしも身近でない熱帯の自然環境について、誤解を解き,その特徴としくみを確認し、そうした目をもって,ふだんあたりまえと思っている身の回りの自然環境の特質をとらえ直す。
  2. 2)ハザードマップ類がなぜ作られるようになったのか、どのようにして作られているかをみた上で、それを読み取り、読み込み、読み抜き、場合によっては部分的に作り直す工夫について考える.。
  3. 3)住宅用地開発が、どのような地形・地質のところで、どのように進み、どのような地盤条件が人工的に作り出されてきたかを、地域的・歴史的に概観し、造成宅地で発生した地盤災害の実例をみて、今後の被害発生を抑制する方向をさぐる。既に造成されてしまった宅地についての個別対策の話ではない。
  4. 4)自然現象としての山くずれや地すべり等の発生のしかたをさぐり、国土の形成にあたってそれらが果たしている役割を考え、これまでの典型的災害例を振り返った上で、今後の被害を避け、あるいは軽く済ませる方策に目を向ける。
  5. 5)なぜ「さとやま」が注目されるようになったか、「さとやま」はどのようにしてできてきたのか、「さとやま」はこれからどうなっていくだろうか、というようなことについて、「地形」をベースに考える。
  6. 6)何のために環境を保全するのか、それにはどのようにすればよいか、それを妨げているのは何か、そのようなことに途上国と先進国との違いがあるか、あるとすれば・・・、というようなことについて、土地に密着した問題を中心に考える。
高校生くらいより年長の人を想定
13日本アルプスの地学トレック:地形編(または)日本アルプスの地形トレック日本アルプスでは、氷河時代から現在まで様々な地形が作られてきました。氷河地形、周氷河地形、火山地形、断層地形、河川地形、地すべり地形などをとりあげて、地形が作られるメカニズムや地形が作られた当時の環境を、写真と図を使ってやさしく解説します。地形をみて楽しむ山歩きの世界をご案内します。中学生~大学生、社会人
14明治時代の古地図で東京・多摩地域とその周辺における自然・人文環境の変遷を探索調査対象地が昔はどのような土地であったか、古地図を基に現存する地物または消滅した地物などを調査し確認する(なお、改変が進み過ぎて確認できない場合もあります)。例えば、土地造成により山を切っているか、谷を埋めているかなどの地盤の性状調査や、凸凹地形や湧水などから、がけ崩れ跡地などの調査。また、古地図では昔の寺社・工場・水車小屋などの場所、道路・鉄道・河川・湿地など土地利用の変化の様子も確認できます。中学生~社会人
15
  1. 1)古い地図・空中写真から把握する災害リスク
  2. 2)宇宙上空から地形・災害を見る
  1. 1)旧版地形図・迅速測図・米軍写真・国土地理院の空中写真等から土地の変遷を理解し、その土地の災害リスクを知る方法を、関東地方南部を事例に解説する。
  2. 2)高分解能衛星・航空レーザ測量・SARなどの測量先端技術を使って地形計測や災害状況把握する手法について、東日本大震災の事例を中心に紹介する。
高校生以上
16ドローンを用いた地理情報の取得と利活用

 2015年4月に官邸屋上に落下したドローンをきっかけに法整備が進められ、航空法の改正・ドローン規制法が施行されました。国内における飛行ルールが整備されたことによって、関連業界では歓迎の声が多く、ビジネスチャンスが広がると予想されています。例えば、国土交通省はICT技術を導入することで生産性向上を図る「i-Construction」を打ち出し、その中にはドローンの測量分野での活用も含まれています。

 本講演では、ドローンの基本的な仕組みから様々な事例(DSM・オルソ画像作成、水稲モニタリング、放射線計測、災害前後の撮影)を中心に紹介します。また、ドローンを運用し始めると、様々な場面に遭遇しますので、私が経験した「墜落・ヒヤリハット」の事例から安全のための心得についても紹介します。

ドローンの利用を検討している方、測量関係者や農業関係者等
17GISの地学への応用はどこまで進んでいるか最近では画像システムやGISは社会や科学に広く浸透しています。しかし、地学の分野では、地すべりなどで活用されているが、他の地学分野や災害分野ではあまりすすんでいないように見える。したがって、地学を心ざす人にGISを使って基礎的な講習をする。高校生、大学生、社会人
18黒部峡谷の自然誌世界を代表する地形・地質の現象が見られる黒部峡谷へ、黒部峡谷トロッコ列車の車窓から何気に見ている風景に,ちょっとした自然誌の知識を加え,地形・地質を楽しむジオ鉄の旅に出かけましょう。中学生、高校生、社会人